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zoom RSS 「SL南房総」号乗車記

<<   作成日時 : 2007/02/04 18:19   >>

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今日はいよいよ「SL南房総」号乗車当日です。

このエリアでは18年ぶりのSL走行とあって、地元でもないのに前日から興奮気味で眠りの浅い夜明けを迎えましたが、ごちゃごちゃ言っている場合ではありません。JRへの乗換えとなる北朝霞では窓口営業時間外の可能性がありMV(指定券発売機)をいじらねばならなそうなので、その余裕時間を確保すべく準備でき次第出発。1本早い電車を捕まえたことで、武蔵野線・総武緩行線・内房線すべてが少しずつ早められ、木更津には15分早着できました。ちばデスティネーションキャンペーン絡みの土産を早々に入手し、先輩とは構内で合流。SL周りはすでに黒山の人だかりで大変なことになっていました。この周辺で先輩と合流するのはまず無理だったでしょうが、橋上駅の階段というお互い見つけやすい場所での鉢合わせとなりました。SLに接近するのはほぼ絶望で、帰りを牽引することになるディーゼル機関車と並んだシーンを撮影するのが精一杯。SL(D51498)の重厚感に比べると、ディーゼル機関車は予想よりも小さいセンターキャブでない型のもの(DE10)。この機関車、いつの間にかSL列車よりも一足先に単独で出発し館山へ先回りした模様。

SL運転記念弁当も入手し、ゆっくりと発車。駅ホームの人出は大変なもので、駅周辺も含めると乗客と同じくらい、あるいはそれ以上の数の人が見送っていたのではないでしょうか。人出の多さに対する驚きはこの程度でおさまりません。館山までの間、沿線には人、人、人。およそ人が立つことができるだろう場所にはあらかた人がいる、車が入ることができる道路にはあらかた路注がいる…そう言って言い過ぎでない状況。中には、国道や県道であるにもかかわらず両側路上駐車で完全に流動が麻痺している部分まで…。線路への立ち入りを監視・警戒するためか、おびただしい量の警備員が線路脇各所に配置されており、踏切周辺ではパトカーや白バイが待機する始末。もはやお祭り騒ぎ以外の何者でもありません。私自身も今までに何度かこの手の列車に乗り合わせていますが、ここまで大歓迎されるのは初めてです。沿線はこんなに人が住んでいたっけ?ってな若干失礼な疑問すら浮かんできます。

でも、でもね。沿線に出ている人こちらを見るまなざしの何と優しいこと…。そりゃあ、SL列車なんてそうそう走る列車じゃあありません。物珍しいことこの上ない存在であるのは動かない事実です。けど、普段当たり前に来る列車に振り向きもしない人々が、こうして鉄路の上を走る塊に何かを感じ、笑顔で手を振ってくれる…私の考え方は単純かつポジティブ過ぎるかもしれませんけど、鉄道にはまだ、これだけ人を惹きつける力があるのだということ、我がことのように嬉しく思いました。農作業途中のおじいちゃん、道路端の手押し車に乗っかるおばあちゃん、挙句の果てには見張らなきゃいけないはずの警備員さんまで…何を思ってこちらに手を振っているのでしょう、車中の客として手を振り返さずにはいられません。鉄道には笑顔で向き合いたいもの。悲しき涙を流す対面は、もうやめにしたいですね。同時に、木更津〜館山間、特急の倍以上の時間をかけて普通列車にも抜かれながら走り抜けるスローな旅に、何かいまを生きる日本人が忘れかけてしまったものを見た思いがしました。

敗戦、上をひたすら見続けてきた高度経済成長、2度にわたる石油ショック、バブル景気とその崩壊…私はそのすべてを見て感じてきたわけではありませんが、激動の世の中で日本人は、いつの間にか目が回るほど多忙な国民になってしまった気がします。過去を振り返ること、ちょっと立ち止まっていまを見つめることを、みんな「時間のロス」って思っちゃっている…違うでしょうか。木更津館山間、2時間40分かかりました。でも、正直指定券510円では安すぎるくらい、充実していました。海を眺めながら、せいぜい時速50キロ程度ののんびり車窓…これ以上の贅沢があるでしょうか。いや、昔はみんな、こうして旅していたんです。これが当たり前で、どこへ行くにも機関車が客車を引っ張っていた、反対列車が来れば行き違いで延々と止まる、特急・急行が来ればさっさと道を譲る、鈍行列車はみんなそうだった時代があったんです。でも、いつの間にかこの当たり前さえも、贅沢になってしまった…それがいまの世の中です。

手前味噌ではありませんが、私は昨年の社員旅行で山形から自宅まで、鈍行乗り継ぎを敢行しました。先だっての「湯けむり」乗車時も長野から自宅まで、やはり他に手段はあるにもかかわらずあえて鈍行列車の長旅を選択しました。それは単に自分がヒマ人だからとか、特急料金がもったいないからとかではなく、当たり前だった昔の旅を、今の世の中でも当たり前にできる旅人でいたいという願望からなのかもしれませんが、実はそれ自体、自分でもよく分からないでいます。けどなぜか、気がつけば鈍行をチマチマ乗り継ぐ旅をしてしまっている自分がいます…SLに、乗って揺られて、時の流れに身をゆだねているだけで満たされてしまう自分は、ひょっとすると古いタイプの人間なのかもしれません。

などときれいごとを書きましたが、結局のところ今日は日曜日。明日からは普段通り仕事をしなければなりません。明日に支障が出ないようになるべく早く帰るには…やっぱりそう考えてしまいます。結果、復路は館山東京間通しで特急「さざなみ」号の世話になってしまいました。特急の所要時間、SL列車よりはるかに長い距離を走るにもかかわらず、往路のSLより1時間弱も短いものでした…。快適ではあるけれど、やっぱり何か物足りない…そう思えるだけ、「いまの旅」に染まっていないと言えるのかもしれません。

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